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音楽コラム集|スタジオマンが教える豆知識

【スタジオマンが教える豆知識Vol.6】ピアノの適切な温度・湿度管理

2021.03.04

皆さまご存知の通り湿度はピアノにとって大敵です。

気温や湿度が急激に変化する季節では、楽器も日々状態が変化していくものですので、いつも以上に手をかけてあげる必要があります!

さらに気候の影響だけではなく、毎日人の出入りがあるようなスタジオでは人や物からの水蒸気など楽器の状態を変化させる様々な要素があるのです。

そこで今回はスタジオノアで行なっているピアノの管理・調整方法をご紹介いたします。

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◯湿度管理が必要な理由 

まずはなぜ湿度管理が必要なのか。ピアノだけでなく、皆さんがお持ちのギターなどの楽器は主に木材から作られています。

皆さんも梅雨の時期などに、いつも使用してる楽器の弾きやすさやピッチのズレが起きやすいと感じたことがあるのではないでしょうか。それはまさに楽器が湿度の影響を受け、状態が変化しているからです。

木材は多湿な環境下では水分量が上昇し膨張するためピアノの鍵盤が上がってこないことや場合によっては金属部品が錆びてしまうこともあります。反対に乾燥気味になると木材が収縮し、ピッチのズレや木材のわれにつながります。

ピアノなどの楽器はギターなどのように自分自身での調整などがなかなか難しいために、日頃から適切な湿度管理を行うことでピアノの調律やタッチが安定しピアノの寿命にも関係してくるのです。

◯楽器の最適な湿度について

それではピアノにとって最適な湿度はというと・・・

国産メーカーYAMAHAは温度15℃~25℃、湿度は冬季:35%~65%、夏季:40%~70%が推奨されており、人にとって快適な環境がピアノにも良いとされています。

スタジオノアでは常時、室温23℃程度/湿度50%前後で保つように調整されています。

ですが、日本のような季節によって天気が様々な環境ですと一定の湿度を保つのは不可能なため、湿度を可能な限り保つ方法が必要になってきます。


湿度管理について

まずは温度・湿度を正確に確認できる湿度計を用意します。

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ここで注意するポイントは相対湿度で調整するということです。

相対湿度とは温度に対して空気中に含むことができる水分量の比率のことです。温度が上がれば空気中の水分量は上昇し、下がれば水分量は低下するという考え方です。


例にすると、温度23度で湿度50%とした時に、温度15℃で湿度60%になったとしても除湿をしてしまうと乾燥しすぎてしまいます。

またエアコンで設定した温度・湿度で管理しているつもりでも、意外と一定には保たれにくいため数字で正確に確認できる湿度計が必要というわけです。

スタジオノアでは基本的なお部屋内の温度・湿度管理はエアコンの除湿機能を使用しています。ただそれだけでは不十分なため、加湿器・除湿機を使用しています。

ここで注意する点が必ずスチーム式ではなく気化式の加湿器を使用するようにしましょう。

スチーム式は水蒸気として加湿するため、結露した際に楽器を傷めてしまう可能性があります。


それに対し気化式は湿らせたフィルターに風を当てて加湿する仕組みで、出る風も冷風のため空気を温めないというメリットもあります。

また加湿器・除湿機に共通して、湿度設定やタイマー機能があるタイプであれば過剰に加湿・除湿しすぎることがないためおすすめです。


これらを設置する際の注意点は、できるだけピアノに直接当たらないように配置を決めてあげましょう。

エアコンや加湿・除湿機での管理はご家庭でも導入しやすいものではありますが、水の処理やランニングコストとしては高くつくというデメリットもあります。そこで楽器専用の除湿剤などを用いることである程度軽減されるため導入してみるのも良いかもしれません。


長くなりましたのでまとめますと・・・

・一年を通して一定の温度・湿度を保つようにする(ノアでは温度23℃/湿度50%)

・湿度計で正確な温度・湿度を管理する

・加湿器は気化式のものを使用する

・エアコン・加湿・除湿機の風が直接当たらないように設置する

◯楽器の調整方法

これまで楽器の湿度管理について述べてきましたが、やはり完璧に状態を保つのは不可能なため調整作業ガッ必要になってきます。

ですが先ほども述べたようにピアノは個人で調整することは専門的知識がないとなかなか難しい楽器です。

そのためスタジオノアでも調律の他にも細かな調整などについてはノア専属の調律師チームによって定期的に行われています。調律は1ヶ月に一度行われており、調整についても他のピアノを調律する際に調整しているため、短期間の間に何度も調律師の手によって調整がされています。


◯最後に

湿度管理について説明してきましたが、一番大切なことは細かく楽器の状態を確認してあげることだと思います。スタジオノアで取り扱っているピアノは細かな調整と管理でレコーディ ングや配信利用にも最適です。各種機材レンタルなどスタッフのサポートも充実しておりますのでぜひご利用されてみてはいかがでしょうか。

◯引用

・ヤマハ公式サイトより最適な温度や湿度について

http://yamaha.custhelp.com/app/answers/detail/a_id/1471

・Piano Platzよりピアノの管理について

http://www.pianoplatz.co.jp/mennte/environ.html

・渡辺ピアノ調律事務所よりピアノの管理について

http://www.piano-tokyo.jp/faq016.html