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音楽コラム集|映画研究部NOAH

【コラム】映画研究部NOAH 第33回「ビリー・アイリッシュ:世界は少しぼやけている」

2021.05.02

ビリー・アイリッシュ:世界は少しぼやけている

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ビリー・アイリッシュ初となるドキュメンタリー作品がApple TV+で配信中だ。本フィルムは瞬く間に新世代のポップアイコンとなった彼女とその家族にスポットを当てた作品となっている。母のマギー・ベアード、父のパトリック・オコネル、兄のフィニアス・オコネルと暮らすロサンゼルス・ハイランドパークにある一軒家が主な舞台になっており、現代アーティストのドキュメンタリーに多いインタビュー形式ではなく、カメラで密着して起きたありのままの姿を記録した作品構成となっている。 

 

【彼女を形成するもの】

ビリー・アイリッシュを形成する最も重要な要素は彼女の家族といえるだろう。音楽一家のオコネル家で彼女は父に楽器を教わり、母に作曲を教わって育ち、兄フィニアスとは彼の部屋で楽曲制作を共同で行っており、彼女はこの一家を「ひとつのでっかい曲」と形容している。楽曲制作、PV撮影、ライブ、どの場面においても家族がその場に関わっており、時には意見をぶつけ合いながら終始寄り添う様子が観られ、一家の強い絆を感じさせる。本作は稀代のミュージシャンビリー・アイリッシュの物語であり、一組の家族の物語でもある。

【アーティストとして】

ビリー・アイリッシュ自身のデビューアルバムである「When We All Fall Asleep, Where Do We Go?」の制作過程と、ライブ・ツアー映像を本作では観ることが出来る。長時間のカメラ密着映像は彼女の心情の変化や葛藤をよく映し出しており、ツアーと制作の過酷さを物語っている。それ以外にもこれまでメディアで語られてきた自傷癖の過去や、彼女が患っているトゥレット症候群の発作が出るシーンまで赤裸々に刻まれている他、(元)ボーイフレンドの存在まで明らかにしている。詳しくは本編映像で確認して頂きたい。

激しいアップダウンの繰り返しに疲弊し時には感情的になるビリーだが、兄と両親の献身的なサポートにより堪える場面が幾度とあり感動的だ。観ているこちらも彼女の保護者になった気分にさせる。

【10代の少女として】

ティーンエイジャーとは思えない功績と実力を持った彼女だが、そのカリスマ性は勿論、少女らしい言動を観られるのもこの作品の魅力の1つだ。

特に彼女が熱狂的なファンだと公言しているジャスティン・ビーバーについてのエピソードが多く取り上げられており、その愛を語る彼女は実に普通の少女らしく微笑ましい。本作品で家族以外に彼女をサポートする存在としてスポットを当てられているのが他でもないジャスティン・ビーバーであり、コーチェラ・フェスで両者がアーティストとして対面を果たす瞬間は最も印象的なシーンとなっている。

数々の問題行動でメディアや大衆から批判の的となることもあったジャスティン・ビーバーだが、アーティストビリー・アイリッシュにかつての自分を重ね、彼女の理解者として純粋にサポートする姿はリスペクトに値する。

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【2021年に劇場公開決定!】

Apple TV+限定で視聴可能な本作だが、2021年6月25日より全国で劇場上映されることが決まっている。ライブ・パフォーマンスとその裏側、一家のシュールなホームビデオなど豪華映像満載の本作を是非映画館の音響で体感して頂きたい。1つの時代を作り上げたビリー・アイリッシュは次のチャプターへと歩みを進めているところであり、これからも目が離せない。

【映画情報】

監督:R・J・カトラー

キャスト:ビリー・アイリッシュ フィニアス・オコネル パトリック・オコネル マギー・ベアード

上映時間:140分

画像引用元:https://tv.apple.com/jp/movie/umc.cmc.5waz3hfo9r1133t8arap8b6nq